人間の目

脊椎動物は4種類の色を感じる視物質(イオドプシン)と、明るさを感じる物質(ロドプシン)を共通して持っている。 しかし進化の過程で、哺乳類は中間の波長を感じる2種類の視物質を失った。 人類を含むアジア・アフリカのサルは3600万年前頃、長波長の視物質からわずかに 変化した新しい視物質を獲得し、独自の色覚を得た。

類人猿の3種の視細胞(S,M,L錐体)の、光の周波数に対する反応を単純化してグラフにした。 M、L錐体の反応は似ているので、M、L錐体の反応の差分は網膜で強調されて脳に送られる。 脳はこれらの刺激に潜む法則を学習し、様々な周波数成分を持つ光に対する視物質の 反応パターンを「色」として認識する。
太陽光の分光スペクトルとつき合わせると、S錐体のみが反応する周波数領域は紫、 3錐体とも反応する領域は青~緑、M、L錐体のみ反応する領域は黄色~赤と知覚されていることが分かる。

まとめ
人間の目には、色を感じる3種類の視細胞(S、M、L錐体)がある。
目に光が入ると、「S錐体、M錐体、L錐体の刺激反応」「M錐体とL錐体の刺激反応の差分」が 信号として脳に送り込まれる。


色再現と三原色

人間は3つの視細胞で色を感じており、この3つの視細胞に任意の刺激反応を起こすことができれば、 任意の色を脳に認識させることができる。

これには、おおまかに2つのやり方がある。
1つ目は、いくつかの波長の光を用意し、それぞれの強さを操作することで任意の刺激反応を 起こす方法で、加法混色と呼ばれる。
2つ目は、色素をいくつか用意し、色素の混合物に連続的なスペクトルを持つ光を当てて 拡散反射した光を見せる方法で、減法混色と呼ばれる。

ここでは最も広く知られている単純な加法混色、減法混色手法として、 1802年頃にヤング、ヘルムホルツによって発表された光の三原色・絵の具の三原色を紹介する。

光の三原色は、赤、青、緑の単色(単一波長)の光を組み合わせて、様々な色を再現する手法である。 ここで、赤、青、緑の単色光が、各錐体をどのように刺激するか確認しよう。

光の三原色では、黄色(580nm付近)の混色は比較的上手くできる。 緑の単色光と赤の単色光を重ね合わせれば、M錐体、L錐体が刺激され、かつM、L錐体の刺激差分がM錐体<L錐体になって、 黄色の刺激反応パターンになる。 だが、青と緑の中間色は、M、L錐体の刺激差分をM錐体>L錐体にする組み合わせがないので、混色できない。 また、青と赤の中間色は、光の重ね合わせの原理から考えると青~紫の中間色は混色できず、 紫~赤はスペクトルが存在すらしないのだが、実際には脳内で紫と赤の混色を純色扱いにして連続した色相として認識している。 また、紫外線に近い紫や赤外線に近い赤は錐体1つしか刺激に反応しないため、波長の違いと強さの違いを識別できない。 これらの性質を利用して青と赤の原色を上手く選べば、赤~紫~青の色をある程度混色することができる。 しかし、紫の純色に近い色は混色できないし、 赤と紫の混色は光の重ね合わせの性質ではなく異なる錐体の刺激反応の重ね合わせで成立しているため、線形性も悪い。

絵具の三原色は、赤、青、黄の色素を組み合わせて、様々な色を再現する手法である。 光の三原色と違い、光を直接扱うのではなく、強く反射する周波数帯が異なる色素を組み合わせる。 ここで、同じ刺激反応パターンを起こす色素は同じ色とされる。 たとえば、赤と緑の光を強く反射する色素と、黄色の光を強く反射する色素と、赤黄緑全部を強く反射する 色素は全部黄色である。 ここで、赤、青、黄の色素はそれぞれどのような刺激反応を操作する役割を割り当てられているか確認しよう。

3つとも、その色に見える周波数領域の光に対する刺激反応が単純で、 光の重ね合わせの性質も素直な色が選ばれている。

しかし、色素の混合の場合、混合した割合だけ正確に反射率が変わるわけではないので、 特定の周波数を強く反射する色素の組み合わせで、狙ったとおりの色の刺激反応パターンを再現するのは難しい。 また、色素は物質なので、混ぜることで化学反応を起こすことすらある。 このため絵具の三原色は扱うのが難しく、シアン、マゼンタ、イエローのような反射率の高い周波数領域が広い 色素を使う方が実用である。

加法混色でも減法混色でも、用意する光や色素の種類が少ないと再現できない色=刺激反応パターンがが残ってしまう。 このため、現代の印刷では何種類もの色素を使って色を再現する。 また、全ての刺激反応パターンを表現するために、XYZ(1931年に標準化)、L*a*b(1976年に標準化)などの色表現が使われる。

※逆に、青から紫の中間色を

まとめ
視細胞の刺激反応パターンを再現できれば、脳に同じ色と認識させることができる。
刺激反応パターンの組み合わせを作る方法は主に二つある。
光の三原色、絵の具の三原色は1802年に発表された最も有名で単純な加法混色、減法混色手法である。
しかし、単純であるがゆえに再現できない色も多い。
特に減法混色は思い通りの刺激反応パターンを作るのが難しく、色の三原色は実用的ではなかった。
現代では全ての色を表現できるXYZ、L*a*bなどの色表現を使用し、高度な混色手法によって色を再現する。


RGBカラーシステムと色再現域

NTSC(ITU-R BT.601)

sRGB(IEC61966 or ITU-R BT.709)

外側
R、G、Bのどれかが必ずマイナスになる。

左上
M、L錐体の刺激差分がM錐体>L錐体になる色。Rの値がマイナス。
光の三原色では再現できない色の領域。

右下
スペクトルに存在しない赤紫。Gの値がマイナス。
右下は脳内で合成される赤紫ばかりなので、青赤紫がバランスよく出現するあたりに赤、青の原色を置く。

(仮)まとめ・素材の中間メモ
光の三原色を使った色再現の仕組みは原色名の頭文字からRGBカラーモデルと呼ばれる。
カラーシステム(カラープロファイル)は色の表現方法であるカラーモデルと、
モデルが表現する色の範囲が人間の感じる色のどの部分にあたるかを表す
ガモット(色再現域、色域)の組み合わせで定義される。
色域は色を再現する「物」の性質で決まる。例えば原色にレーザーったカラーシステムの色再現域は、
xyY色度図で見ると人間が認識できる色の範囲に内接する三角形になる。
ブラウン管を使ったカラーシステムは、蛍光塗料に電子ビームを照射した時の色を原色として用いる。
しかし、テレビではカメラでの信号生成をベースにして規格が作られており、
受像機での再現性の差は性能の差とされていた。
このような経緯のため、NTSC規格の信号はブラウン管での色再現に必ずしも適しているとはいえない。
一方、PCでは初めから色を数値で扱い、それを信号にしてブラウン管に送っている。
このため、数値変化とブラウン管での色再現の変化の対応がTVよりも明確に意識されて使われてきた経緯があり、
PCやHDTVで共通の標準色再現規格であるsRGBでは、各原色はブラウン管の発色により忠実に、
ガンマ関数は人間の目の特性をより反映するようになった。(この辺はもう少し裏を取る必要があるかも)
(脱線)
光の三原色では原理的に青~緑の中間にある純色を表現できない。
ディスプレイデバイスでは、印刷のように混色ではなく直接その色の素材を使うことはできないため、
この解決には450nm~550nmのスペクトル光に近い原色を導入して、4原色や5原色にするしかない。

条件等色と白

光源色、物体色、反射率

カラーシステムと光源

白は色ではない、色順応

(仮)メモ
光源が変われば違う色に見える物体も、ある光源下では同じ色になってしまうことがある。
これを条件等色という。
これは人間が受ける刺激が似たパターンになってしまうだけで、分光分布は異なっている。
、 人間が受ける刺激を再現するいくつかの数値で表す限り、これは避けられない。
→という話と、純白の(反射率の高い散乱反射をする)物体の話と、
光源色に近いために純白の物体と条件等色してしまっている物体の話と、
人間の目が常に色順応の影響下にある話を絡めようと思ったけど
まだストーリーがまとまってない。(汗)

色再現域の変換

放送信号、sRGB64、sYCCの色表現と印刷用の色表現

絶対的な色域、相対的な色域

知覚的変換

白点、黒点の強制

(仮)メモ
各規格の話と、色を表す数値のマイナスの意味(SuperBlackってあふぉな名称ですよって話)
3原色で既に数値化された色を他の色再現域に変換するとはどういうことか
(たとえ話) 撮影した写真を、さらに別のスタジオで撮影する>写真を写した写真
(例題) 赤い光の下で撮影した写真を青い光のスタジオで撮影するとどうなる?
知覚的変換&白点の強制<要するに副作用の修正、実用的かもしれないけど原理的には×


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